社長挨拶

当社の株主様はじめステークホルダーの皆様には平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

当社、旭タンカーは2023年3月、創業72年を迎えました。戦前展開していた前身の石油事業会社(立石商店)から数えると112年の歳月を重ねています。20世紀は「石油の世紀」と言われておりましたが、当社はまさにその時代を石油とともに成長、発展してまいりました。そして今世紀も4分の1が過ぎようとしていますが、世界は様変わりし「脱炭素社会」実現のために化石燃料由来のエネルギーから再生可能エネルギーへの転換が急速に行われようとしています。「脱炭素社会」は確実に実現されるべきですが、技術的な問題、コスト負担の問題、さらには世界の経済成長を阻むパンデミックや国際紛争などの社会的な問題により、脱炭素化への道が時に減速や方向転換を余儀なくされることは、昨今の情勢からも理解できます。

現代においてエネルギー供給は空気や水と同じように1日たりとも絶やすことはできません。代替エネルギーが定着するまで、石油産業の物流をしっかり支えることが第一の使命と考えております。もちろん新たなエネルギーに対して海上物流の用命があるのであれば、そこに新たな事業の柱を築いていくことは必然と考えており、今まで培った安全輸送の体制を十二分に活用しながら、これからの輸送ニーズに合った船舶を手当し、それに相応しい優秀な乗組員を育成していくことに傾注してまいります。

一方で、日本国内の労働人口減は、海運業界にとっても船員不足という切実な問題を抱える状況に陥りつつあります。さらには運送業界が直面する、いわゆる「2024年問題」は物流という観点からすれば、内航海運業界にも少なからず影響すると考えざるを得ません。船員は職住が一体という特殊な環境での仕事ですが、四方を海に囲まれている日本にとってはなくてはならない職業です。より働きやすく、より魅力ある職場に改善し、船員一人ひとりが「日本のエネルギー供給を支えている」という誇りをもって業務に従事できる環境を整えてまいります。

当社はエネルギー輸送のためにエネルギーを消費する立場でもあります。地球環境に配慮した船舶である世界初の電気推進タンカーは2022年に続き2隻目が2023年3月に竣工し、現在2隻の電気推進タンカーが東京湾で外航船向け燃料供給船として稼働しています。まだまだ技術的改良の余地もあり、当社グループが扱う内外航船約160隻のCO2排出量から比べたら微々たるものですが、更なるCO2削減に向けて全社を挙げて取り組んでまいる所存です。

皆様のさらなるご指導、ご支援を賜れば大変有難く、よろしくお願い申し上げます。

PAGE TOP